社宅家賃の税務

社宅家賃

役員や従業員に社宅や寮などを貸し、役員又は従業員が一定の家賃を支払っていない場合には、役員や従業員が社宅等を利用する経済的利益に原則として所得税が課税されます。

 しかし、ある一定の条件の勤務形態の場合には、家賃をまったく支払わずに無償で社宅や寮などを利用した場合でもその経済的利益が課税されない場合があります。

家賃が無償でも給与として所得税の課税されない場合

 職務の遂行上やむを得ない必要に基づき指定された場所に従業員等が居住することによる経済的利益については、給与等としてその従業員等に所得税が課税されません。たとえば次のような事由が該当します。

  • 通常の勤務時間外においても勤務を常例とする看護婦、守衛等その職務の遂行上勤務場所を離れて居住することが困難な従業員等に、その職務に従事させる必要上提供した家屋部屋。
  • 早朝や深夜に勤務することを常例とするホテル、旅館、牛乳販売店等の住み込みの従業員等に提供した家屋部屋 。
  • 季節的労働に従事する期間その勤務場所に住み込む従業員等に提供した家屋部屋。
  • 船舶乗組員に提供した船室。
  • 常時交代制により昼夜作業を継続する事業場で、その作業に従事するため常時早朝深夜に出退勤する従業員等にその作業に従事させる必要上提供した家屋部屋。
  • 工場寄宿舎その他の寄宿舎で事業所等の構内又は隣接する場所に設置された部屋。
  • 鉱山の採掘場に勤務する従業員に提供した家屋部屋。

従業員の通常の家賃

 従業員に社宅や寮などを貸す場合には、その従業員から一月当り一定額の家賃を受取っていれば、その従業員に対して社宅や寮を利用したことによる経済的利益に給与として所得税が課税されることはありません。

 一月当り一定額の家賃とは次の3つの金額を合計した通常の家賃の50%以上を従業員が負担してれば、その従業員に通常の家賃と負担した家賃との差額に所得税は課税されません。

  1. その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
  2. 12円×その建物の総床面積平方メートル÷3.3平方メートル
  3. その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

 たとえば一月当りの通常の家賃が2万円の社宅を従業員に貸した場合に

  1. 従業員に無償で貸す場合には、2万円が給与として課税されます。
  2. 6千円で貸す場合には1万4千円が給与として課税されます。
  3. 1万2千円で貸す場合には2万円との差額8千円は給与として課税されません。

役員の通常の家賃

 役員に社宅を貸す場合には、その役員から一月当り一定額の家賃を受取っていれば、その役員に対して社宅を利用することによる経済的利益に給与として課税されることはありません。

  役員に対する一月当り一定額の家賃とは、その貸与する社宅の床面積の大きさにより次のように定められています。なお、社会通念上一般的に貸与される社宅として認められない豪華社宅である場合には、次の算式の適用はなく実勢価額により家賃を算定します。

【役員に貸す小規模な社宅の通常の家賃】
役員に貸与する社宅の建物の耐用年数が30年以下の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、建物の耐用年数が30年を超える場合には床面積が99平方メートル以下(区分所有の建物の共有部分の床面積を按分し加算して判定)である社宅の一月当りの通常家賃は次の算式の合計額です。

  1. その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
  2. 12円×その建物の総床面積平方メートル÷3.3平方メートル
  3. その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

なお、従業員とは異なり役員が通常家賃の50%以上負担する場合でも、通常家賃との差額は所得税が課税されます。


【役員に貸す小規模以外の社宅の通常の家賃】
役員に貸与する社宅が小規模以外の社宅の一月当りの通常家賃は次の(1)と(2)の合計額の12分の1です。

  1. その年度の建物の固定資産税の課税標準額×12%(建物の耐用年数が30年超のときは10%)
  2. その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%
    ただし、会社が他から社宅を借り受けて、役員や貸している場合には上記の金額と会社が支払う家賃の50%の金額とのいずれか多い金額が一月当りの通常家賃となります。

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