動物病院の借地権の税金

無償返還届出書

社長又は動物病院の獣医の先生の個人所有の土地に、法人名義の店舗病院建物を建てた場合

社長又は動物病院の先生個人への課税がどうなるか?

店舗病院を建てた法人への課税はどうなるか?

無償返還届出書を提出

 無償返還届出書は、法人が権利金を収受しないで他人に借地権の設定等による土地の使用をさせた場合に、収受する地代が相当の地代以下であっても借地人が将来その土地を無償で返還することを契約書に定め、届出するものです。
借地人が将来無償返還する土地は、借地権の価値が低く地代収益権である底地権の価値が高いと考えられますので、地主である法人は相当の地代を受取れることになります。
無償返還届出書が提出すると、地主である法人には権利金の認定課税が行われずに相当の地代と実際に収受している地代の差額地代の認定課税が行われます。
したがって、土地の返還時において底地権の価値が高いため、地主法人が立退料を支払わずに無償返還をできることになります。
ただし、借地権設定時に権利金又は特別の経済的利益を少しでも受領している場合には、無償返還届出書を提出できません。

相当地代改定届出書を提出

相当地代改定届出書は、契約書に地価の上昇に応じて地代の改定をするかを届出るものです。
借地権の設定に係る土地の価額の上昇に応じて地代を相当の地代に改定する旨を契約書に定め届出ると、将来土地の返還時に立退料を不要とすることができます。
地価の上昇に応じて地代を改定しない旨を届出たとき又は相当地代改定届出書を提出しなかったときは、地価の上昇に応じて地代の改定は不要ですが、無償返還届出書を提出していないと土地の返還時に地主は借地人への相当額の立退料の支払いが必要となります。

無償返還届出書と相当地代改定

  • 借地権設定時に相当の地代を収受しているとき。
    1.地価の上昇に応じて地代の改定をする場合には、相当地代改定届出書の提出。
    2.地価の上昇に応じて地代の改定をせずに将来土地の返還時に立退料を支払う場合には何も出しない又は地代の改定をしない旨の相当地代改定届出書の提出。
    3.地価の上昇に応じて地代の改定をせずに、将来土地の返還時に立退料を支払わない場合には無償返還届出書の提出。
  • 借地権設定時に相当の地代を収受していないとき。
    .借地権の認定課税を避け立退料を将来支払わない場合には無償返還届出書の提出。

個人の土地に法人が店舗病院を建てた場合

  • 借地権の設定に当り権利金等の一時金を授受する取引上の慣行がある土地について権利金及び相当の地代を収受せず無償返還届出書を提出すれば、地主に対して権利金の認定課税はおこなわず、実際に収受している地代と相当の地代の差額につき地主から借地人に贈与したものとして地代の認定課税が行われます。
  • しかし、社長又は動物病院の獣医師個人の所有の土地に、その社長の法人又は法人である動物病院が建物を建設した場合には、
    1. 地主である社長又は動物病院の獣医師は、その年分の所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額は契約上の収入すべき地代で、通常収受すべき相当の地代ではないので、地代認定がされたとしても現状では所得税の課税は行われません。
    2. 借地人である法人は、無償で土地を使用しているため相当の地代とその免除益が相殺されているため、課税所得が生じないことになります。
    3. したがって、地主が個人、借地人が法人である場合には課税関係は生じません。

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